このブログでは、猛禽類を健康で美しく保つための飼育について解説しています。
ここでお伝えする内容は、単なるマニュアルではありません。
長年の飼育経験の中で見えてきた
「命を預かる者としての在り方」
を土台にした考え方です。
知識や技術はもちろん大切ですが、
それ以上に重要なのは
どんな姿勢で猛禽と向き合っているか
です。
この連載が、あなたと猛禽の関係をより深く、より良いものにするきっかけになれば幸いです。
【第0回】猛禽類飼育において本当に大切なこと
現在、飼育されている猛禽類のほとんどは人工繁殖で生まれた個体です。
そのため、ペットショップで犬や猫、小動物と同じように並び、販売されています。
この光景に慣れてしまうと、
まるで「飼いやすいように家畜化された動物」であるかのような錯覚を抱いてしまいがちです。
しかしこれは大きな誤解です。
彼らの種としての本来の姿は、
野生の環境で生まれ、野生の環境で生きるために進化してきた猛禽類です。
人工繁殖で生まれたとしても、
体の構造も、本能も、必要とする環境要素も、
野生の猛禽類と何も変わっていません。
つまり彼らは今、
本来なら存在しないはずの
**“人工飼育下という異常な世界”**で生きていることになります。

この前提を理解しているかどうかで、
飼育の質は大きく変わります。
猛禽類の飼育で本当に大切なのは
「知識を増やすこと」よりも先に、
しっかり観ること、そして聴くこと。
要約すれば「観察すること」です。
眺めるだけなら誰でも出来ます。
しかし、状態を読み取ろうとしなければ
そこに意味は生まれません。

羽の艶、便の状態、動き、呼吸、食べ方。
それらはすべて猛禽類からの“情報”です。
野生で生きるために備わった機能が、
今この人工的な環境の中でどう反応しているのか。
それを読み取るのが飼育者の役割です。
私はこれまでの飼育経験を通して
猛禽類を健康で美しく維持するために
7つの重要な要素があると考えるようになりました。
それが
1.餌
2.水
3.ミネラル
4.空気
5.気候
6.紫外線
7.衛生的な飼育環境
です。
これらは単独で存在しているものではなく、
互いに影響し合いながら最終的に
「健康状態」として表れます。
言い換えれば、
衛生的で整った飼育環境とは結果であって、原因ではないということです。
猛禽類の飼育とは、
野生の生き物を
人間の管理下という特殊な環境で預かる行為です。

自然界の要素をどこまで再現し、
人間の管理の利点をどう組み合わせるか。
その“バランス感覚”こそが飼育の本質だと考えています。
そしてこの考え方は、
実は私たち人間の生活にもよく似ています。
猛禽に良いものを与えながら、
自分自身の体や生活を粗末にしていては、
その飼育は長く続きません。
飼い主さんの健康と余裕は、
そのまま猛禽の飼育環境に反映されます。
このシリーズでは、
この「7つのポイント」を1つずつ掘り下げながら
・なぜそれが必要なのか
・不足すると何が起きるのか
・飼育下でどう補うのか
を解説していきます。
すべてを一度に完璧にする必要はありません。
大切なのは、観察しながら少しずつ整えていくことです。
猛禽飼育は、特別な才能が必要な世界ではありません。
大切なのは「上手にやること」よりも、命に対して誠実であろうとする姿勢です。
これからお伝えしていく内容はすべて、
その姿勢があってこそ意味を持つものばかりです。
焦らず、比べず、
まずは目の前の一羽をしっかり観ることから始めていきましょう。
🪶 第0回:総論「観察がすべて」
✔ どの管理方法にも絶対の正解はありません。
必ず個体を観察し、その反応を基準に調整してください。
まずは、今の環境を振り返ってみましょう。
🔍 今日から出来るチェックリスト
・毎日、猛禽の様子を“作業として”ではなく意識して観ている
・食欲・動き・目の力に違和感がないか見ている
・便の状態をなんとなくではなく把握している
・「昨日と同じか?」ではなく「変化はないか?」で見ている
次回は、健康の土台となる
第1回「餌 ― 単食が招く静かな不調」
について詳しくお話しします。