店長日記
猛禽飼育について
皆様こんにちは!
最近は残暑は多少残りますが、一番暑い時期が通り過ぎて
随分過ごし易くなりました。
本日は今まで培ってきた猛禽飼育についてお伝えしたいと思います。
今年も当店はエアコン無しでクリアしました。
毎日行われる水浴びと扇風機のみで
狭く暑い空間でこの夏の間は大体45羽以上の猛禽達が暮らし
ており1羽も状態は崩さず、この暑さをものともせず
熱中症などならず在庫している猛禽達やお迎えされた猛禽達も現在もピンピンしております。
最近は涼しくなってきたので、猛禽達も随分過ごし易そうにしております。
只、お住まいの地域や種類によってはエアコンや工夫が必要な場合があります。
カラフトフクロウやシロフクロウは寒い地域に住んでいるフクロウですがこの種もエアコン無しで飼育が可能です。
上記の種や寒冷地仕様の猛禽を室内飼育でエアコンを掛けて飼育すると寿命はとても短くなってしまう可能性があります。
ではどのように飼育するかというと屋外飼育です。
大阪天王寺動物園に行くと分かりますがシロフクロウもカラフトフクロウも屋外飼育で非常に長く飼育されています。
私の友人でカラフトフクロウを10年以上飼育されている方がいますがやはり屋外飼育です。
屋外飼育については今回は詳しく書きませんが
種類によっては屋外飼育で無いと長期飼育不可な種類がいるのは確かです。
日光浴も必要不可欠で鳥類は我々人間より高い場所が生活圏でより沢山の紫外線が必要だという事が推測されます。
日光浴をする事により羽表面付近でビタミンD3が形成され
羽繕いする時に経口摂取し餌からカルシウムを体内に吸収しております。
日光浴は直ぐに目に見えて効果が出ることではありませんが
日光浴するとしないでは大きな差があります。
日光浴をする時間帯ですがやはり午前中が良いと思います。
太陽光には健康に及ぼす色々な良い効果が発表されています。
但し日光浴は飼い主さんが見ている時だけにしましょう。
真夏の長時間の直射日光は危険です。
目を離すときは必ず日陰など直射日光が当たらない場所に移動してからにしましょう。
この暑さで少々餌食いは落ちたかもですが、当店の猛禽達は爆食しておりました。
確かに暑いと餌食いは落ちるのですが極端に落ちる最大の理由は水分不足です。
水分補給が出来ず脱水になっていると餌食いは確実に落ちます。
水入れは必ず設置して下さい。
大きさは直径20㎝位の小さめでも良いですし、スペースに余裕があるなら水浴びも考慮して大きめの水入れを置いてあげると良いでしょう。
その水入れから飲んでいようと飲んでなかろうと水入れは必ず設置する必要があります。
この地球上に水無しで生命を維持できる生き物はいません。
猛禽は水無しで飼えると耳にしますが
なぜそんな根拠の無い事を言えるのか不思議です。
しっかり水分補給出来ている猛禽は皆美しいです。
只、水入れを置いているだけで水を飲んでいると思い込んでいる場合がありますが
飲んでいない場合やたまにしか飲まない事もあり、上にも書きましたがシャワーを掛けてあげることにより沢山の水を飲むことが出来ます。
例えるなら、ラーメンを食べに行って水無しで満足に食べることが出来るでしょうか?
ラーメン汁が飲み物の代わりになりますかね?
私には無理です。
餌と水は分けて与えるのが最も良いです。
猛禽類はよく水を飲みます!
シャワーで水を掛けることにより水に対して抵抗が無くなり水が大好きになります。
「うちの仔は水が嫌いなんです。なので霧吹きしています」という相談を受けますが
それでは水分補給になりません。
それは、水を掛けたときに1回嫌がっただけで霧吹きに変えてしまっている場合が殆どです。
1回嫌がろうが水は毎日掛けてあげることにより猛禽はその行為に慣れて来ます。
ですので、シャワーを掛けて1回嫌がっただけで霧吹きに変えるのは間違いです。
シャワーに慣れてくると殆どの個体が垂れる水を飲むようになります。
そうなれば、小さい水入れからでも水を飲む仕草が確認できるようになります。
鳥は習慣を非常に重んじる生き物です。
良い習慣を身に着けてあげると猛禽はピカピカで状態が1段階上がります。
シャワーを掛ける事により羽の汚れが落ちます。
そして汚れが落ちて綺麗になった羽に毛繕いをすることで羽に艶が出て水弾きする美しい猛禽になります。
シャワーは水を飲ませるだけでなく洗うことにより羽艶が出てフワフワになる効果があります。
もう一つ大切なのが足を洗うことです。
猛禽類は足が生命線です。
足で獲物を捕まえたり、捕まえた餌を足で掴んで食べたり、足で体を掻いたりします。
飼育下では糞を踏みます。
その足で餌を食べたり体を掻いたりする事は非常に不衛生です。
冬場は体全体に水を掛けすぎると低体温になったりする事もあるので控えめにしますが
足とパーチなどは毎日洗いましょう。
猛禽類の身の回りを綺麗に保つことも猛禽類を飼育する上で重要なことの一つです。
猛禽類の温度の適温といえば大体25度程度でしょうか。
猛禽飼育本にもそのように書かれている場合が殆どです。
確かに適温は25度程度で過ごし易い温度かもしれませんが飼育温度とはまた別です。
日本は四季がある国で年中25度の場所などありません。
四季に順応し体感させる事により丈夫で強い猛禽に育てることが出来ると確信しております。
暑い時期は暑く、寒い時期は寒く体感させることが大事です。
小型種はあまりの低温は危険ですのでその場合は部屋全体を暖めるのではなく
爬虫類飼育で使用する温熱球やヒヨコ電球等を部分的に当てるようにし猛禽に好みの温度帯を選ばせて上げるのが良いでしょう。
大型種は屋外でも(地域によります)越冬可能ですが
小型種は私の経験上10度くらいが下限でしょう。
猛禽を飼育下で育てる上で一番重要な餌についてですが、
猛禽の餌で手に入れ易い餌といえば
冷凍のウズラ、ヒヨコ、マウスになると思います。
我々人間は雑食で肉や野菜等色々な物を満遍なく食する事で健康な体を維持していると思います。
猛禽類は肉食でほぼ肉だけを食べている生き物です。
上記に上げた3種類の餌は全て肉です。
お解り頂けたと思いますがこの3種の餌を満遍なく与えることが重要だということです。
偏った餌の与え方は偏食にもなりかねませんし健康維持する上で栄養不足に陥ることがあると思います。
特にフクロウに関しては獲物を丸呑みする全体食の生き物です。
ウズラは要らない部分を省いてあるので与え易いかもしれませんが
ウズラは頭、羽、内臓、足を省いてありますので部分食です。
特に夏場のウズラは傷み易く置き餌などで長時間置いてあると匂いがきつくなり猛禽達は好まなくなることがあります。
それが更なる夏場の食欲減退に繋がります。
そこで登場するのがヒヨコとマウスです。
ヒヨコ、マウスは腸や黄身を抜く場合がありますが全体食です。
ヒヨコは卵から産まれて1~2日で絞めているので骨が柔らかく猛禽類にとって非常に食べ易いです。
マウスもそうですが骨が柔らかいので口当たりが良いみたいで非常に良く食べます。
ウズラは残してもヒヨコやマウスは完食する場合が殆どです。
マウスを好む猛禽は多く当店看板鳥のソウゲンワシでさえ凄く好みます。
ソウゲンワシに餌を与える時、ウズラやヒヨコは食べなくてもマウスは食べるということは多々あります。
マウスやヒヨコは猛禽類にとって口当たりが良く好んで食べる傾向があります。
マウスは少量でも栄養価が高く猛禽には非常にお勧めです。
ウズラは骨が大きいので小さく刻んでも「ペッ」と嫌がることがあります。
たまに見受けられるのがウズラしか与えていなく
そしてサプリメントを与え栄養を補っているから大丈夫と思い込まれている場合がありますが
これは大変危険な餌の与え方だと思います。
サプリメントは3種の餌を与えた上で必要に応じて添加するものだと思います。
当店ではサプリメントは殆ど与えていません。
サプリメントを与えなくても猛禽類は綺麗に健康に育ちます。
しっかりとした水分補給と3種の餌を満遍なく与えるだけで猛禽類は非常に美しく健康に力強く育ちます。
更に言えば時々生きたマウス等を与えるとより効果的です。
スーパーで売っているササミ類を与えても意味が無いのは血を抜いてあるからです。
血液から栄養を摂取しているといっても過言ではありません。
状態を崩した時等活きた血を飲ませる事で復活することは多々あります。
猛禽類をイベントに連れて行く時や移動させる時は必ず活マウスを持参します。
それ程活マウスは栄養価の高い餌だと言えます。
ここまで色々長く書きましたが猛禽飼育に大切な事は
「見るのでは無く、観る事が大切」になります。
しっかり観る事が出来れば飼育されている愛鳥の違った表情や行動を観察する事が出来るでしょう。
猛禽類は非常に特殊な生き物だという事を再確認し
特殊な生き物の飼育には手間やお金を惜しまず掛けましょう。
猛禽類は定番なペットとなりつつあります。
今一度、愛鳥をよく観て考えて飼育しましょう。
この夏沢山の方にご来店頂き飼育相談を受けてきました。
私の経験から得た知識を皆様にお伝えしたく長々となりましたが書かせて頂きました。
私もまだまだ経験値が足りませんが少しでも今現在猛禽類を飼育されている方や
これから猛禽類を飼育したいと考えている方の参考になればと思います。
また新しい発見があれば随時書いていきたいと思います。
明日は出張や仕入れがありお店はお休みです。
通販は毎日行っておりますので沢山のご注文お待ちしております!!
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- 2016.09.14
- 23:22
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